K 5 νガンダムにハズレなし。HGUCもMG(初代、ver.ka共に)もRGも、ガンプラ好きな人におすすめできる素晴らしいキットだ。しかし、初心者や子供には勧めづらい。理由は二つ。そう、価格とフィンファンネルである。νガンダムと言えばフィンファンネルだが、可動式のフィンファンネルを6個作り続けるのは根気を要求される作業である。そして、大型の機体でありフィンファンネルやニューハイパーバズーカなどの武装が豊富なため、キットの価格は否が応でも高くなってしまう。これらの問題を回避するには、今まではSDを選ぶ他なかった。(旧キット1/144νガンダムは安かったが、今では滅多に入手できないため)そこに満を持して登場したのが、このエントリーグレードνガンダムである。主人公機ながら1100円という、HGバルバトス並みの価格設定。計算され尽くした100個程度のパーツによる、ストレスなく組める工程。しかもカメラアイやアポジモーターまで再現された色分け。敢えてフィンファンネルを廃することで、正に初心者向けのνガンダムが出来上がったのだ。もっとも、「フィンファンネルもバズーカもサーベルエフェクトもHGから取れってことか?これだからバンダイ商法は!」と宣う人もいることだろう。だが、考えてほしい。これは一体誰を対象にしているのかを。そして想像してほしい。エントリーグレードνガンダムを喜んで作り上げた子供に、「パパからのプレゼントだよ」と自分の組んだHGUCフィンファンネルを差し出す父親の姿を。「このファンネル開閉する!連結できる!パパすごい!ありがとう!」と瞳を輝かせる子供の姿を脳裏に描くことは難しくないだろう。転売ヤーの大量買いに対抗すべく、潤沢な数を準備してくれたバンダイの真意はここにあるのではないだろうか。私が立ち寄った店でも、購入した本商品を袋にも入れず手に持ち、笑顔で箱の表や側面を眺めながら駐車場に向かう親子を目撃した。ガンプラの好きな子供達に、そしてその親達に対するバンダイの企業努力がここにある。お子さんと一緒に作るもよし、完成度を気にせず組み上げた悦びに浸った己の初心者時代を思い出すもよし。買えた買えない、転売撲滅、作りの甘さがどうこうと嫌なことを考えず、純粋にプラモ作りの楽しさを味わってはいかがだろうか。私も5歳の娘に「一緒に作ろう」と誘いをかけた。娘はたまらなく愛らしい笑顔で「私はかわいいのを作りたいの!」と言うと、一人でタママロボを作り始めた。・・・私も一人でνガンダムを作り始めた。